グレーシア乳剤とミツバチ|散布翌日導入の試験条件と天敵への注意

グレーシア乳剤を散布したあと、ミツバチやマルハナバチをいつ戻せるのか。「翌日導入可能」と書かれていても、どの条件でも同じと考えてよいのか迷いますよね。
日産化学の圃場試験では、グレーシア乳剤2000倍を散布し、翌日にセイヨウミツバチを再導入、またはセイヨウオオマルハナバチの巣門を再開放しています。
この条件では、処理区と無処理区の訪花蜂数・死亡個体数に有意な差が見られませんでした。
ただし、これは特定の作物・希釈倍数・試験方法で得られた結果です。「どんな条件でも絶対安全」「散布から24時間たてば必ずよい」という保証に広げず、実際の登録内容と巣箱の運用を合わせて確認しましょう。
確認資料:日産化学|ミツバチ・マルハナバチへの圃場試験 / 有用昆虫への影響一覧(2020年2月版) 情報確認日:2026年9月30日
この記事の担当範囲
- ミツバチ・マルハナバチの翌日導入と試験条件
- 訪花昆虫と天敵類の違い
- 作物別の適用表はグレーシア乳剤の適用表記事で確認
- 他剤との組み合わせはグレーシア乳剤の混用記事で確認
グレーシア乳剤はミツバチを翌日に導入できる?

メーカー資料が示しているのは、単に「翌日なら大丈夫」という一文だけではありません。作物、訪花昆虫の種類、希釈倍数、巣箱の扱い、調査項目まで確認すると、結論の範囲が見えてきます。
セイヨウミツバチ|イチゴ圃場で翌日に再導入
イチゴ圃場の試験では、グレーシア乳剤を2000倍で散布し、翌日にセイヨウミツバチを再導入しています。
散布7日前から散布21日後まで調べた結果、処理区と無処理区の訪花蜂数と死亡個体数に有意な差は見られませんでした。
セイヨウオオマルハナバチ|ミニトマト圃場で翌日に巣門を再開放
ミニトマト圃場の試験も2000倍で散布し、翌日にセイヨウオオマルハナバチの巣門を再開放しています。
散布3日前から散布27日後までの調査で、処理区と無処理区の訪花蜂数・死亡個体数に有意な差は見られませんでした。
日産化学は、これらを散布翌日の放飼で影響がほとんどなかった試験例として掲載しています。試験で確認された操作は、散布翌日の「再導入」または「巣門の再開放」です。散布中から巣箱を開けたままにする条件を確認した試験ではありません。
「翌日導入可能」を読み違えないための条件
今回、資料を照合して一番注意が必要だと感じたのは、「翌日」という結論だけが独り歩きしやすいことでした。公式資料に書かれていない条件まで、こちらで補わないことが大切です。
試験は2000倍。実際の希釈倍数は作物・害虫ごとの登録表を優先
ミツバチとマルハナバチの圃場試験は2000倍で行われています。一方、農林水産省の適用表には、作物と害虫によって2000倍、2000~3000倍、3000倍など異なる行があります。
試験条件に合わせるために、登録内容と違う濃度で散布することはできません。使用時は、農林水産省の登録第24185号または手元のラベルで、作物・害虫・希釈倍数・使用時期・回数を確認してください。
「翌日」はメーカーの表現。正確な経過時間は資料に書かれていない
公式ページと影響一覧の表記は「散布翌日」「翌日導入可能」です。そこから、散布時刻を基準にした一律の「24時間ルール」まで断定することはできません。
散布日、再導入予定日、訪花昆虫の種類を記録し、巣箱の供給元やJA、地域の指導機関に運用条件がある場合は、その案内も合わせてください。
ミツバチ・マルハナバチと天敵類は別に考える

日産化学の影響一覧では、次の訪花昆虫は「翌日導入可能」とされています。
翌日導入可能と掲載されている訪花昆虫
- セイヨウミツバチ
- セイヨウオオマルハナバチ
- クロマルハナバチ
カブリダニ・寄生蜂などは翌日導入の対象ではない
同じ一覧では、スワルスキーカブリダニ、ミヤコカブリダニ、オンシツツヤコバチなど、多数の天敵類が強い影響を受ける判定になっています。一部には影響日数の目安として100日以上と記載された種もあります。
ミツバチに対する翌日導入の結果を、天敵昆虫すべてへ広げてはいけません。利用中の天敵名を確認し、個別の影響日数をメーカー資料で照合してください。
影響一覧の注記では、日数は単用試験に基づく目安であり、低温、混用、供試虫の健康状態などによって影響の程度が変わるとされています。
散布前後の確認チェック

- 製品名:グレーシア乳剤・登録第24185号かを確認する
- 登録内容:作物、害虫、希釈倍数、使用時期、回数、方法を該当行で確認する
- 訪花昆虫:セイヨウミツバチ、セイヨウオオマルハナバチ、クロマルハナバチのどれかを確認する
- 巣箱の運用:試験は翌日の再導入・巣門再開放。供給元や地域の案内も確認する
- 混用:影響一覧は単用試験の目安。混用する場合は組み合わせを別途確認する
- 作業者の安全:ラベルとSDSに従い、保護具、飛散防止、廃液処理を行う
散布当日も巣箱を開けたままでよい?
今回確認した試験は、セイヨウミツバチを翌日に再導入し、セイヨウオオマルハナバチの巣門を翌日に再開放した条件です。散布中から開放したままでもよいことを示した試験ではありません。
ほかの農薬と混ぜても翌日でよい?
一律には判断できません。公式一覧は単用試験を基準としており、混用などの環境条件で影響の程度が変わると注記されています。組み合わせは、グレーシア乳剤の混用記事とメーカーの混用事例表で確認してください。
どの作物でも2000倍で使う?
いいえ。2000倍は今回紹介したミツバチ・マルハナバチ試験の条件です。実際の使用濃度は作物と害虫によって異なります。詳しくはグレーシア乳剤の適用表と希釈倍数の記事をご確認ください。
ミツバチ以外の天敵も翌日に戻せる?
戻せるとは限りません。天敵類には強い影響が示されている種が多いため、必ず使用中の天敵名で影響一覧を確認してください。
作業者の安全については、日産化学のSDS(2025年3月31日改訂)も確認してください。
まとめ|翌日導入は試験条件と使用ラベルをセットで確認
- 2000倍の圃場試験では、散布翌日に再導入・巣門再開放し、訪花蜂数と死亡個体数に有意な差は見られなかった
- 公式表記は「翌日」で、正確な経過時間を一律に示したものではない
- 訪花昆虫3種と、多数の天敵類への影響は分けて考える
- 実際の希釈倍数・使用時期・回数は、作物と害虫に対応する登録行を優先する
「翌日導入可能」は便利な結論ですが、試験条件を外して読むと誤解につながります。手元の製品、対象作物、訪花昆虫の種類、単用か混用かをそろえたうえで判断してください。
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