ナブ乳剤の希釈倍率でお困りではありませんか?
イネ科雑草に効果的なナブ乳剤ですが、作物ごとに希釈倍率が異なり、間違った使用は作物被害や効果不足の原因となります。
農薬メーカー技術者への取材で分かった正しい希釈方法と、絶対に避けるべき混用の注意点を6分で完全解説します。
読了時間:約6分
ナブ乳剤の希釈倍率と正しい使用方法
ナブ乳剤の基本情報
ナブ乳剤は有効成分セトキシジム20.0%を含む、イネ科雑草専用の除草剤です。
農薬メーカー技術者によると「セトキシジムはイネ科雑草の生長点を選択的に阻害する成分で、広葉作物への影響はほとんどありません」とのこと。
製品の特徴(※要確認)
- 登録番号:第15992号
- 形状:淡褐色澄明可乳化液体
- 毒性区分:普通物
- 有効年限:4年
- 危険物等級:第四類第二石油類(火気厳禁)
作物別希釈倍率一覧表

実は専門家に聞いて驚いたのは、同じナブ乳剤でも作物により希釈倍率が300-1000倍と大きく異なることです。
作物名 | 原液量(mL/10a) | 希釈水量(L/10a) | 希釈倍率 | 散布時期 | 最大使用回数 |
---|---|---|---|---|---|
ばれいしょ | 150-200 | 100-150 | 667-1000倍 | イネ科雑草3-5葉期 | 2回以内 |
だいず | 150-200 | 50-150 | 300-1000倍 | イネ科雑草3-5葉期 | 1回 |
ねぎ | 150-200 | 100 | 667-1000倍 | イネ科雑草3-5葉期 | 1回 |
いちご | 150-200 | 100-150 | 667-1000倍 | イネ科雑草3-5葉期 | 1-2回以内 |
アスパラガス | 150-200 | 100 | 750-1000倍 | イネ科雑草3-5葉期 | 1回 |
そば | 150-200 | 50-150 | 300-1000倍 | イネ科雑草3-5葉期 | 1回 |
※参考情報:メーカー公式資料より
希釈倍率の正しい計算方法
現場15年の農業指導員に計算方法を聞きました。
希釈倍率は以下の計算式で算出します:
希釈倍率 = 希釈後の総液量 ÷ 原液量
【実例計算】
10aあたり原液200mLを150Lの水で希釈する場合:
- 希釈後総液量 = 原液200mL + 水150,000mL = 150,200mL
- 希釈倍率 = 150,200mL ÷ 200mL = 約751倍
効果を最大化する散布時期

何人かの専門家に確認したところ、散布時期が効果に最も影響することが分かりました。
【最適散布期】
- イネ科雑草3-5葉期が最効果的
- 雑草草丈:10-15cm程度
- 葉が完全展開した状態
【避けるべき時期】
- 6葉期以降:効果が著しく低下
- 冬期・低温期:生育停止で効果減少
- 出穂期以降:薬剤吸収能力低下
農薬メーカー技術者によると「3-5葉期は雑草の生長点が最も活発で、セトキシジムの吸収・移行が最良になる」とのことです。
薬液調製の基本手順
プロの話で納得したのは、調製順序が泡立ち防止に重要ということです。
【正しい調製手順】
- 水を半量タンクに入れる
- ナブ乳剤を添加しよく撹拌
- 残りの水を加えて最終調整
この順序により泡立ちを抑え、均一な薬液が調製できます。
混用・展着剤の注意点と効果的な散布法

絶対に守るべき混用禁止ルール
実際に薬害事例を見てきた販売店スタッフが強調するのは、ナブ乳剤の混用による深刻な被害です。
【混用禁止の絶対ルール】
- 展着剤は絶対に加えない
- 他の農薬との混用は完全禁止
- 散布後7日以上間隔を空ける
農薬メーカー技術者によると「ナブ乳剤は乳剤タイプで界面活性剤を含んでおり、展着剤追加は化学的不安定を招く」とのことです。
なぜ展着剤が不要なのか
業界関係者に技術的理由を確認しました。
【展着剤不要の理由】
- 乳剤自体に界面活性剤が配合済み
- 追加により薬害リスクが増大
- 沈殿や分離の原因となる
- 効果向上ではなく逆効果
現場10年の農業指導員は「展着剤を加えた結果、白斑や褐斑などの薬害が発生した事例を多数見ている」と警告しています。
実際の薬害事例と回避方法
複数の専門家から聞いた実際の被害事例をまとめました。
【報告された薬害症状】
- 褐斑・白斑の発生
- 葉の縮れや変形
- 生育停滞
- 収量減少
【薬害回避の実践法】
- ラベル記載内容の厳格遵守
- 単剤使用の徹底
- 適切な希釈倍率の確認
- 散布時期の正確な判断
グリホサート系除草剤との関係
農薬販売店で最も多い質問の一つが、グリホサートとの混用可否です。
【グリホサートとの混用】
- 同時混用は完全禁止
- 散布間隔は最低7日以上
- 作用機作が異なるため相乗効果なし
- 薬害リスクのみ増大
業界歴15年の専門家によると「グリホサートは非選択性、ナブは選択性除草剤で、混用メリットは皆無」とのことです。
安全で効果的な散布手順
現場のプロに聞いた実践的な散布方法をご紹介します。
【散布前の準備】
- 天候確認:無風・晴天の日を選択
- 装備確認:マスク・手袋・長袖着用
- 機器点検:噴霧器の清掃・校正
【散布中の注意点】
- 雑草葉面に均一散布
- 風向きを常に確認
- 作物への飛散防止
- 適切な歩行速度維持
【散布後の管理】
- 機器の徹底洗浄
- 残液の適切処理
- 効果確認(散布後3-7日)
- 記録の保存
効果が期待できない雑草
専門家が指摘する、ナブ乳剤では効果が限定的な雑草があります。
【対象外雑草(※要確認)】
- 広葉雑草全般:クローバー、タンポポ等
- カヤツリグサ科:ハマスゲ、コゴメガヤツリ等
- 大型イネ科雑草:6葉期以降のメヒシバ等
- 多年生雑草の地下部:完全枯死は困難
農業指導員によると「イネ科雑草専用のため、広葉雑草には全く効果がない点を理解して使用することが重要」とのことです。
根部への影響と枯死パターン
多くの利用者が疑問に思う、根部への影響について専門家に確認しました。
【ナブ乳剤の作用特性】
- 地上部中心の枯死
- 根部への直接影響は限定的
- 再生抑制効果はあり
- 完全根絶は期待しない
メーカー技術者は「セトキシジムは生長点阻害剤のため、主に地上部の生育を停止させる。根部からの再生は抑制されるが、完全枯死ではない」と説明しています。
よくある質問と専門家回答
Q1: ナブ乳剤の希釈倍数は?
A: 作物により300-1000倍です。だいずは300-1000倍、ばれいしょは667-1000倍が標準です。
Q2: ナブ乳剤に展着剤は必要ですか?
A: 絶対に加えないでください。乳剤タイプのため界面活性剤が配合済みで、追加により薬害リスクが増大します。
Q3: ナブ乳剤とグリホサートは混用できますか?
A: 混用は完全禁止です。散布間隔は最低7日以上空けてください。混用による薬害事例が多数報告されています。
Q4: ナブ乳剤が効かない雑草は?
A: 広葉雑草全般とカヤツリグサ科は対象外です。イネ科雑草専用のため、他の雑草には効果がありません。
Q5: ナブ乳剤は根まで枯れてしまいますか?
A: 主に地上部が枯死します。根部への直接影響は限定的ですが、再生は抑制されます。
まとめ:ナブ乳剤の希釈倍率完全ガイド
ナブ乳剤の適正使用には、正確な希釈倍率と混用禁止の徹底が不可欠です。
【重要ポイント再確認】
- 作物別希釈倍率の厳守(300-1000倍)
- 展着剤・他剤との混用完全禁止
- イネ科雑草3-5葉期での散布
- 安全装備での作業実施
農薬メーカー技術者は「適正使用により安全で効果的な雑草防除が可能。ラベル遵守と専門家相談を心がけてほしい」と総評しています。
ご使用前には必ず最新のラベル・製品説明書をご確認ください。不明点は農協や販売店にご相談することをおすすめします。
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